2007, Courage to Grow- Rebelution ,
Songwriter: Eric Rachmany , Rory Carey 、Marley D. Williams 、Wesley Finley
🎵
聴き始めた瞬間、何かが緩む。肩の力が抜ける。
そういう曲がある。Rebelutionの「Feeling Alright」は、まさにそういう曲だ。アコースティックギターの柔らかいイントロが始まった瞬間、それまでのざわざわした気持ちが、すっと落ち着いてくる。
この曲がSpotifyで1億800万回以上再生されているという事実が、そのことを証明している。誰かが「今日はこれが必要だ」と思って、この曲を選んで再生ボタンを押した——その積み重ねが1億回を超えた。
🌴 サンタバーバラのキャンパスで育まれた音楽
Rebelutionは、カリフォルニア州サンタバーバラを拠点とするレゲエバンドだ。
メンバーのEric Rachmany(ボーカル・ギター)、Rory Carey(キーボード)、Marley D. Williams(ベース)、Wesley Finley(ドラム)は、UCサンタバーバラ(UCSB)のコミュニティカレッジで出会った。RachmanyはSPIN誌のインタビューでこう語っている——「サンタバーバラにいた頃の話だ。みんなコミュニティカレッジに通って、最終的にUCSBに進学して、どうにか卒業した。どうやって卒業できたのか、自分でも不思議だ」。
大学生活を送りながら音楽を作り、ライブを重ね、2007年6月8日にデビューアルバム『Courage to Grow』をインディペンデントでリリース。このアルバムはBillboardのレゲエアルバムチャートで4位を記録した。
「Feeling Alright」はそのアルバムの4曲目。アルバム全体が持つ「成長する勇気」というテーマの中で、この曲は「今この瞬間を受け入れる」という穏やかな立場を担っている。
🎸 音数が少ないからこそ、伝わるもの
この曲を語るとき、どうしても触れておきたいのが、Rory Careyのキーボードと、Wesley Finleyのドラムの「音数の少なさ」だ。
派手なソロはない。複雑なリズムもない。ただ、曲全体を支える柔らかな音の土台がある。キーボードはコードをそっと押さえるだけで、主張しすぎない。ドラムは正確に、でも力を抜いて、レゲエ特有のオフビートを刻む。
この「引き算の美学」が、Eric Rachmanyのボーカルを際立たせている。彼の声は、太くも細くもない、ちょうどいい温度感を持っている。歌っているというより、語りかけているような感触。それが「Feeling Alright」の親密さの正体だ。
ライブでのRachmanyはこう語っている——「音楽に乗り込んでいくと、それが俺を運んでくれる。感じているとき、観客も感じているとわかる。目を合わせているわけじゃないのに、そこに繋がりが生まれる」。
このスタジオ録音における穏やかさも、同じ原理で成立している。演奏者が「感じている」から、聴く人も感じることができる。
🌧️ 「雨雲を遠くに流す」——歌詞が持つ温かさ
歌詞の世界も、サウンドと一致している。
曲はこんな言葉で始まる——「そろそろ周りを見渡して、誰か新しい人に会う時間だ。見知った顔を迎え入れよう。人生に葛藤を抱えている誰かに、謝りながらも、間違いを正す方法があると伝えよう」。
これは「自分の話」ではなく「周りの人への気遣い」から始まる歌詞だ。自分の状態を歌う前に、まず誰かに寄り添おうとする——この視点が、Rebelutionのコミュニティへの想いを反映している。
Rachmanyはこの曲について「コミュニティがバンドにとってどれほど大切かを表現したかった。それがRebelutionというバンドの本質だ」と語っている。
そして、一番印象に残る一節——
*見えない遠くに座って、雨雲が流れていくのを見よう
偉大なことへの思いが、悩みを遠くへ運んでいく*
この「雨雲を遠くへ流す」というイメージが、曲全体の精神をよく表している。問題を解決するのではなく、少し距離を置いて、ただ眺める。音楽の中に身を委ねて、気持ちが自然に落ち着くのを待つ。
「音楽に浸かる、それがリラクゼーション」——この歌詞が伝えること
Well it's a struggle, every day we're stressing
毎日、なんらかの苦労がある。毎日、なんらかのストレスを抱えている。
What's a life without dedication?
でも、献身なき人生に何の意味がある?
I'm, I'm trying to pick up that soul's intention
俺は、魂の本来の意図を拾い上げようとしている
To soak in music, relaxation
音楽に浸かること。それがリラクゼーションだ。
この4行に、「Feeling Alright」という曲の核心がある。
最初の2行は、理想論でも逃避でもない。「毎日しんどい」という、誰もが感じている現実をそのまま認める言葉だ。Rebelutionはここで「大丈夫、全部うまくいく」とは言わない。ただ「そうだよ、毎日しんどいよね」と、静かに頷く。
3行目の「魂の本来の意図を拾い上げる」という表現が深い。疲れや焦りで見えなくなってしまった「自分が本当に大切にしていたもの」を、もう一度丁寧に拾い上げようとする——そういう行為のことだ。
そして4行目。その方法として提示されるのが「音楽に浸かること」だ。解決策でも処方箋でもなく、ただ音楽の中に身を置くこと。それだけで、魂は少し回復する——そう歌っている。
そしてコーラスへ。
We're feeling good, we're feeling alright, yeah
俺たちは気分がいい、大丈夫だ
この「alright」という言葉が絶妙だ。「perfect」でも「great」でもない。「alright」——まあ、大丈夫。それで十分だ、という温度感。
完璧でなくていい。素晴らしくなくていい。「大丈夫」であれば、それでいい——そのメッセージが、1億800万回再生という数字に現れている。世界中の誰かが、この「alright」という言葉を必要としていた。
繰り返されるコーラス「We're feeling good, we're feeling alright」は、宣言ではなく、確認だ。「今、自分は大丈夫だ」という、小さくて静かな確認。
☀️ 1億800万回の「大丈夫」
「Feeling Alright」がリリースされたのは2007年。それから18年が経った今も、この曲はSpotifyでRebelutionの3番目に多く聴かれている曲として、カウントを伸ばし続けている。
2016年のレッドロックス野外円形劇場でのコンサート映画にも収録された。コロラドの岩山に囲まれた野外ステージで、何千人もの観客が「We're feeling alright」とコーラスを歌う映像は、この曲が持つ「みんなの曲」という性質をよく示している。
時代が変わっても、日常の中のストレスや葛藤はなくならない。「毎日なんらかの苦労がある」というこの曲の歌詞は、2007年にも2025年にも同じように真実だ。だからこそ、「それでも大丈夫だ」というこの曲のメッセージが、繰り返し必要とされる。
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アコースティックギターのイントロが始まる。キーボードがそっと重なる。ドラムが静かにビートを刻む。
「音楽に浸かる、それがリラクゼーション」——歌詞の中のこの一節を、Rebelutionは音楽そのもので実証してみせた。
1億800万回、誰かがこの曲を選んで再生した。それぞれの「大丈夫」が、その数字の中に積み重なっている。🎵
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タイトル:スティービー・ワンダー『植物の神秘』の深淵へ〜
40年の時を経てようやく見えてきた、スティービー・ワンダーの真の姿。
ドキュメンタリー映画(未公開)のサントラ本作を、全20曲一曲ずつ丁寧に読み解いたコラムを一冊の本にまとめました。
商業的な枠を超え、地球の鼓動を音にしたようなこのアルバムの魅力を、少しでもお伝えできれば嬉しいです。
Kindle Unlimited会員の方は無料でご覧いただけます。
もしよろしければ、ほんの数ページだけでも、その世界を覗いてみてください。
著者:(Toshiro Mori)
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