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🇺🇲 Chuck Loeb「Tropical」――終わりゆく夏、もう一度南の島へ戻るSmooth Jazz

 

 

 

🌴 Chuck Loeb — “Tropical”

 

『When I’m With You』(2005)より

 

 

夏の終わりに聴きたくなる音楽があります。🌴🌊

 

強い日差しの真夏というより、少しずつ季節が秋へ向かい始めた頃。

 

夕方になってもまだ残っている夏の空気を感じながら、「もう一度だけ夏に戻れたら」と思わせてくれるような曲。

 

Chuck Loebの“Tropical”は、そんな一曲です。

 

2005年に発表されたアルバム『When I’m With You』の2曲目に収録されたインストゥルメンタル。

 

曲が始まると、鳥の鳴き声と波の音が聴こえてきます。🌊🐦

 

その音を耳にすると、どこか南の島にある美しい洞窟へ迷い込んだような感覚になる。

 

現実の場所というより、音楽の中につくられた小さな南国。

 

そこからChuck Loebのギターが入ってきます。🎸

 

 


🌊 “Tropical”というタイトル

 

タイトルは“Tropical”。

 

その言葉の通り、この曲には熱帯を思わせる音の要素があります。

 

ただし、ここで描かれている「Tropical」は、明るく騒がしいリゾートのイメージとは少し違います。

 

鳥の声。

 

波の音。

 

そして、軽快に進んでいくリズム。

 

その上にChuck Loebのギターが重なります。

 

音楽はゆっくりと流れているようでいて、リズムには一定の動きがあります。

 

そのため、車で海岸線を走りながら聴くのにもよく合います。🚗🌊

 

窓の外には海。

 

空が少しずつ暗くなっていく。

 

そんな時間に“Tropical”を流すと、曲の中にある南国のイメージと、目の前の風景が自然につながっていきます。

 

 


🎸 Chuck Loebのギター

 

“Tropical”はChuck Loeb自身によって書かれた曲で

す。

彼のギターは、この曲の中心にあります。

 

軽快なリズムに乗りながら、メロディーを滑らかに進めていく。

 

音数を競うようなギターではなく、曲の雰囲気を保ちながら、必要なフレーズを置いていく。

 

それが“Tropical”というタイトルにもよく合っています。

 

Chuck Loebは、Smooth Jazzの世界で長く活動したギタリストですが、その音楽的背景はSmooth Jazzだけではありません。

 

彼は、1955年12月7日生まれ。

 

ニューヨーク州ナイアックで生まれ、11歳の頃からギターを弾き始めました。

 

16歳頃からジャズに取り組むようになり、その後Musicians Instituteで学びます。

 

さらにキャリアの初期には、New Yorkの音楽シーンでフリーランスのギタリストとして活動しました。

 

 


🎼 Jazzへ

 

Loebがジャズへ向かう大きなきっかけとなったのが、Wes Montgomeryのレコードとの出会いでした。

 

一方で、Jimi HendrixやIsley Brothersからも影響を受けています。

 

つまり、彼の音楽的背景には、ジャズだけでなくロック、R&B、ソウルなど、複数の音楽が存在しています。

 

その後、Hubert Laws、Chico Hamilton、Joe Farrellなどとのセッションを経験。

 

1979年にはStan Getzのバンドにも参加しました。

 

この時期に、シンガー・ソングライターのCarmen Cuestaと出会います。

 

二人は後に結婚し、音楽的なパートナーとしても活動していくことになります。🎤🎸

 

Loebはその後もSteps Aheadに加入し、サックス奏者Bill Evans、 Bob Jamesなど、さまざまなミュージシャンとの仕事を重ねていきました。(*ピアニストのBill Evansとは同名別人)

 

こうした経験が、後の彼のギター・スタイルの背景になっています。

 

 


🌴 『When I’m With You』

 

2005年の『When I’m With You』は、Chuck Loebにとってスタジオ作品としての5作目ではなく、資料上では『eBop』で見せたややProgressiveな方向から少し離れ、より典型的なSmooth Jazzへ戻った作品として紹介されています。

 

アルバムには、

 

“Double Life”

“Tropical”

“Uppercut”

“The Girl From Ipanema”

“Brother Ray”

“Anytime, Anywhere”

“When I’m With You”

“Spanish Night”

“And Then Some”

“Jumpstart”

“Home, James”

 

という11曲が収録されています。

 

その中で“Tropical”は2曲目。

 

アルバムの比較的早い段階で、インストゥルメンタルのSmooth Jazzを聴かせる曲です。🎵

 

 


🎤 Carmen Cuesta

 

アルバム・タイトル曲“When I’m With You”では、Chuck Loebの妻であり音楽パートナーでもあるCarmen Cuestaがヴォーカルを担当しています。

 

“Tropical”がインストゥルメンタルであるのに対して、“When I’m With You”では彼女のゆったりとしたボサノヴァ風のヴォーカルを聴くことができます。

 

この対比もアルバムの面白いところです。

 

ギター中心のインストゥルメンタルから、ヴォーカルを伴ったゆったりしたナンバーへ。

 

 

Chuck Loebの音楽が、ギターだけではなく、ヴォーカルやアレンジを含めた全体のサウンドとして構成されていることが分かります。

 

 


🌅 終わりゆく夏

 

“Tropical”を聴いていると、夏の始まりよりも、むしろ夏の終わりを思い浮かべます。

 

海辺の道路をゆっくり走る。

 

遠くに海が見える。

 

昼間の暑さが少しずつ消えていく。

 

そして、車内にはChuck Loebのギターが流れている。

 

🚗🌊🎸

 

そんな場面です。

一人で聴いてもいい。

誰かと一緒に聴いてもいい。

会話を邪魔するほど強く前に出る音楽ではなく、車の中に自然に存在する音楽。

 

特に夕暮れから夜へ変わっていく時間帯には、この曲の持つ“Tropical”な感覚がよく似合います。

 

 


🏝️ 音の中の南の島

 

冒頭に入る鳥の声と波の音は、曲の入り口です。

 

その音をきっかけに、聴く側は日常から少し離れます。

 

南の島。

 

海。

 

洞窟。

 

波。

そしてギター。

 

実際にはどこにも移動していないのに、音楽によって別の場所を想像することができます。

 

“Tropical”というタイトルも、その想像を邪魔しません。

 

むしろ、聴く人それぞれが自分の「南の島」を思い浮かべる余地を残しています。

 

それがインストゥルメンタルの面白さでもあります。🌴

 

 


🎸 Smooth Jazzとして

 

Chuck Loebのギターは、Smooth Jazzというジャンルの中で非常に聴きやすい音色を持っています。

 

しかし、その背景には長いジャズ・キャリアがあります。

 

Wes Montgomeryから学んだジャズ・ギター。

 

New Yorkでのセッション。

 

Stan Getzとの活動。

 

そしてSteps Aheadやさまざまなミュージシャンとの共演。

 

そうした経験を経て、彼は自分自身の音楽を作っていきました。

 

“Tropical”では、そうしたキャリアを必要以上に前面へ出すことはありません。

 

あくまで一つのSmooth Jazz作品として、ギター、リズム、環境音を組み合わせています。

 

そのシンプルな構成が、この曲の聴きやすさにつながっています。

 


🌊 もう一度、夏へ

 

夏は毎年やってきます。

 

でも、その年の夏は一度しかありません。

 

だから夏の終わりには、少しだけ名残惜しさがあります。

 

“Tropical”には、その感覚がよく似合います。

 

明るい真夏の音楽というより、夏が終わりかけた頃に、もう一度だけ南の島へ戻ってみるような音楽。

 

鳥の声から始まり、波の音が遠くにあり、Chuck Loebのギターがその上を軽快に進んでいく。🌊🎸

 

それを聴きながら海辺を走れば、いつもの道路が少しだけ違って見えるかもしれません。

 


🌙 夜の海岸線で

 

もし夏の終わりにドライブをするなら、“Tropical”は車の中で静かに流しておきたい曲です。

 

窓の外には暗くなっていく海。

 

道路には車のライト。

 

空には、昼間とは違う色が広がっている。

 

そんな時間に、この曲を聴く。

 

🎧🌊🚗

 

一人なら、自分だけの時間として。

 

二人なら、会話の合間に流れる音楽として。

 

“Tropical”は、どちらの場面にも自然に馴染みます。

 


🌴 Summer Isn’t Quite Over

 

Chuck Loebの“Tropical”は、2005年の『When I’m With You』に収録された一曲です。

 

けれど、曲を聴いていると、2005年という年月を意識する必要はありません。

 

鳥の声。

 

波の音。

 

軽快なリズム。

 

そしてギター。

 

それだけで、聴く人の中にひとつの風景が生まれます。

 

夏の終わり。

 

海辺の道。

 

南の島を思わせる空気。

 

そして、「もう少しだけ夏にいたい」という気持ち。

 

🌅🌴🎸

 

“Tropical”は、そんな季節に静かに寄り添ってくれるSmooth Jazzです。

 

夏が終わってしまう前に、もう一度だけ。

 

海辺をゆっくり走りながら、このギターを聴いてみたい。

 

そんな気分にさせてくれる一曲です。

 

 

 

 

 

 

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