
Morgan's Bay (2011), 2012, Angeles-EP -Goldroom,
Songwriter : Josh Legg , David Urbina ,
Samuel Rutherford Gabbard ,
曲が始まった瞬間、場所が変わる。
ロサンゼルスの夏の夜、プールサイド、潮風の匂い——そういうものが、音の中から静かに立ち上がってくる。Goldroom「Morgan's Bay」は、そういう曲だ。聴いている自分がどこにいても、気づいたらLAの夜の空気の中にいる。
🌴 エコパークのバーから生まれた音楽
Goldroomは、ロサンゼルスを拠点にする音楽プロデューサー、Josh Leggのソロプロジェクトだ。
マサチューセッツ州ボストン近郊のウェルズリーで育ち、南カリフォルニア大学(USC)で心理学を専攻。在学中にシンセポップトリオ「NightWaves」を結成し、レーベル「Binary Entertainment」を共同設立した。
「Goldroom」という名前の由来が面白い。LAのエコパーク地区にある同名のバーから取られた名前だ。地元のコミュニティに根ざした、ロサンゼルスの空気を呼吸する名前——それがGoldroomというプロジェクトのスタートにある。
「Goldroomの音楽は、夢見るようなシンセ、感情的なボーカル、トロピカルディスコのグルーヴが合わさり、ロサンゼルスの夏のサウンドスケープを描き出す。南カリフォルニアの重厚なダブ系クラブに対する、風通しの良い回答だ」と当時のメディアは評した。
French Touchの先駆者、Alan BraxeやFred Falkeからの影響を受けながら、ライブ楽器とパーカッションを電子音楽に織り交ぜた独自のカリフォルニア解釈——それがGoldroomのサウンドの核だ。
🎵 「Morgan's Bay」——Angeles EPの顔
2011年1月23日、Goldroomは4曲入りのデビューEP「Angeles」をセルフリリースした。「Morgan's Bay」「Nights In Nantes」「Angeles」「City Girls」の4曲。
「Goldroomの最初の3曲は、ロサンゼルスという場所で生きることから生まれる物語を語っている。失われた愛と無垢さのテーマが、ディスコビートとファンクベースラインと絡み合い、煙草の煙漂うダンスフロアにも、海岸へ向かう朝のドライブにも似合うものを作り出している」
その中で「Morgan's Bay」は、EPの顔として際立っていた。「クリスプなオーガニックドラム、ファンクを帯びたギターリフ、ほとんどささやくような声が、親密なディスコジャムのようなものを作り上げている」
あるレビューは「Morgan's Bayは、Talking Headsのミドルキャリアのポップファンクと、Classixxのトロピカルな色彩が結婚したような曲だ」と評した。これ以上ないほど的確な表現だと思う。
🌊 「太陽のマスクの中の顔」——歌詞の世界
「Morgan's Bay」の歌詞は、シンプルに見えて、その「余白」に意味がある。
*Lost in a space, inside this life like*
*What if it was more*
*I see a face in a mask of sunshine*
*What if it was yours*
この冒頭のフレーズが、曲のすべてを語っている。「この人生という空間の中で迷子になりながら、もしこれがもっと何かであったなら——太陽のマスクの中に顔を見た、それがあなたの顔だったなら」。
具体的な物語はない。名前も、場所も、説明もない。ただ「憧れ」と「不確かさ」と「もしかしたら」だけがある。
コーラスで繰り返される「Girl whatcha wanna see / Why don't you want, why don't you want / Girl watcha want with me」という問いかけも、答えが返ってこない問いだ。相手が何を望んでいるのか、わからない。自分が何を求められているのか、わからない。その「わからなさ」の中を、曲は4分46秒、浮遊し続ける。
これが「実存的な問いかけ(Existential questioning)」というテーマを持つとされる理由だ。人生そのものへの問いと、目の前の誰かへの問いが、区別なく混ざり合っている。
☀️ トロピカルハウスの夜明けと「Morgan's Bay」の位置づけ
2011年という時代を考えると、「Morgan's Bay」が持つ意味がよりはっきりする。
いわゆる「トロピカルハウス」というジャンルが音楽シーンで認知されるようになるのは2013〜2014年頃で、KylieやThomas Jackの登場以降だ。しかしGoldroomは2011年の時点で、すでにその感触を持つ音楽をセルフリリースしていた。
プールサイドのソワレ(poolside soiree)のサウンドトラック——そう評されたGoldroomの音楽は、後に「チルウェーブ」「ドリームウェーブ」「トロピカルディスコ」と様々な言葉で呼ばれることになる。しかし「Morgan's Bay」はそのどれにも収まりきらない、もう少し個人的な温度を持っている。
踊るための曲というより、誰かのことを考えながら、夜の光の中をゆっくり歩くための曲——そういう感触がある。
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「太陽のマスクの中に顔を見た、それがあなたの顔だったなら」——この一節に、「Morgan's Bay」のすべてがある。
答えは出ない。相手は答えてくれない。それでも問い続ける。
ロサンゼルスの夏の夜の光の中で、浮遊するような問いかけとして、この曲はずっと存在し続けている。🌊
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🎧 この夏、音楽の聴き方を少し変えてみませんか。
Goldroom「Morgan's Bay」のような、夢見るようなシンセ、囁くようなボーカル、ファンクを帯びたギターの細部——これらは良いヘッドホンで聴いて初めて、本当の姿を現します。
スピーカーでは埋もれてしまう音の層が、耳元でくっきりと浮かび上がる瞬間。それが、音楽と本当に向き合う時間です。
この夏のトロピカルサウンド、ぜひ良いヘッドホンで。🌊🎵
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わが家に帰ろう

タイトル:スティービー・ワンダー『植物の神秘』の深淵へ〜
40年の時を経てようやく見えてきた、スティービー・ワンダーの真の姿。
ドキュメンタリー映画(未公開)のサントラ本作を、全20曲一曲ずつ丁寧に読み解いたコラムを一冊の本にまとめました。
商業的な枠を超え、地球の鼓動を音にしたようなこのアルバムの魅力を、少しでもお伝えできれば嬉しいです。
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著者:(Toshiro Mori)
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