
🎵Satisfaction
1965 , Out Of Our Heads (U.S. version)- Rolling Stones ,
Songwriter : Mick Jagger , Keith Richards ,
ロックンロールの歴史上、最も有名な「うっかり」がある。
1965年、Rolling StonesのギタリストKeith Richardsは、枕元に置いたカセットレコーダーに眠りながらギターを弾き、翌朝その録音を再生した。テープには、あの3音のリフと「I can't get no satisfaction」という言葉、そして——40分間の本人のイビキが残っていた。
この「うっかり」が、ロック史上最も有名なリフを生んだ。
本人はその創作について、自身の自伝『Life』(2010年)や数々のインタビューでこう語っている——
「俺は眠りながら『Satisfaction』を書いた。書いたなんて全然知らなかった。フィリップスの小さなカセットプレイヤーに感謝するしかない」
この一言に、Keith Richardsというアーティストの本質が凝縮されている。
🎸 「俺はリフの達人だ」——Keithが語る、自分の音楽の核心
Keithの語録の中で、最も自信に満ちた一言がある。
「俺がメロディを書いた、ミックが歌詞を書いた。でも音楽的なリフは主に俺から来た。俺はリフの達人だ(I am the master of the riff)」
この言葉は傲慢に聞こえるかもしれないが、実績を見れば反論の余地がない。Satisfaction、Honky Tonk Women、Brown Sugar、Start Me Up、Jumpin' Jack Flash——ロック史に刻まれたリフのほとんどが、彼の手から生まれた。
そして彼はそのリフがどこから来るかについて、こう続けた——
「これらのものはすべて、ちょっとした火花(little sparks)から作られている。あなたのところに降ってくる。そのときその場にいて、それを掴む幸運があるかどうかだ。それが基本的に俺たちの仕事の進め方だ」
「降ってくるものを掴む」——これがKeithの創作哲学のすべてだ。
😴 「朝起きたら、テープが終わっていた」——あの夜の完全な証言
Keithは『Satisfaction』誕生の夜について、様々なインタビューで繰り返し語っている。その言葉を時系列で並べると、一つの映画のような情景が浮かぶ。
🌃 まず、前夜——
「いつものようにギターを持ったまま眠りについた。新しいテープをセットしていた」
🌞 翌朝——
「目が覚めたら、テープが最後まで回っていた。『何もしてないのに……寝ながらボタンを押したかな』と思った。それで巻き戻して再生ボタンを押したら、幽霊のような声で(in some sort of ghostly version)あのリフと歌詞が入っていた。まるっと一節分。そしてその後は、40分間の俺のイビキだ!でも曲の胚(embryo)はそこにあった。俺は本当に夢の中でそれを作ったんだ。今でも次の夢を待っている(I'm still waiting for another dream)」
この最後の一行——「今でも次の夢を待っている」——が、Keithらしい。50年以上経った今も、彼は「次の夢」を信じている。
🎵 「シングルじゃないと思った」——自分の名曲を過小評価した男
Keithの語録の中で最も面白いのが、自分の最高傑作に対する当初の評価だ。
「俺は『Satisfaction』はシングルにならないと言った男だ(I'm the guy who said Satisfaction wasn't a single)。それが俺の判断力というものだ」
1981年のRolling Stone誌インタビューでのこの発言は、彼の自己評価の低さと正直さを同時に示している。
さらにMick Jaggerも後にこう証言している——「彼は最初の部分しか持っていなかった、それからリフがあった。アコースティックギターでカントリーっぽく聞こえた——ロックには聞こえなかった。でも彼はそれをあまり好きじゃなかった、ジョークみたいなものだと思っていた……シングル候補だとは全然思っていなかった。俺たちみんなが『頭おかしいんじゃないか』と言った。もちろん彼はそうだったけど」
「シングルにならない」と言った男が書いた曲が、全米1位になった。そしてロック史上最も有名な曲の一つになった。
🎤 「50年弾いて、やっとコツがわかってきた」——Keithの哲学
Keithの語録の中で、最も深みがあると思う言葉がある。
「曲を書いて、5日後にはレコーディングしている。曲のことをほとんど知らないまま。それを50年間ツアーで演奏して、今やっとコツがわかってきた(I'm starting to get the hang of it now)」
この言葉の裏に、Keithの音楽に対する根本的な姿勢がある。完成させてから発表するのではなく、発表してから完成させていく——という逆転の発想。ステージで何千回も演奏することで、曲は育っていく、という哲学だ。
さらにこう続けた——
「Satisfactionを弾くたびに、新しいやり方を見つける。ここにちょっと何か、あそこにちょっと何か。レコードに入れればよかったな、と思うものが。でも、そういうものだ」
50年以上弾き続けた曲に、まだ新しい発見がある——これがKeith Richardsの「終わりなき創作」の姿だ。
🌙 「曲を書くということは、誰かの心を刺す一撃だ」
最後に、Keithの語録の中で最も詩的な一節を紹介したい。
「記憶に残り、心に響く曲を書くということは、つながりだ。ベースを触れること。俺たち全員を貫く糸。心への一撃(A stab to the heart)だ」
これは彼の自伝『Life』の中にある言葉だ。華やかなロックスターのイメージの裏に、こんなに真剣に「音楽とは何か」を考えている人間がいた——それがKeith Richardsの語録が教えてくれる最大の驚きかもしれない。
眠りながら名曲を録音し、「シングルにならない」と言い、50年演奏して「やっとコツがわかってきた」と言う男。
彼は今も、次の夢を待っている。
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カセットレコーダーのテープが終わっていた朝から、60年近くが経った。
あのイビキの後に残っていた「曲の胚」は、ロック史上最も有名なリフになった。
Keith Richardsの語録は、創作の神秘について、どんな音楽理論書よりも正直に語っている。
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1965年リリースの『Out of Our Heads』(US版)には、あの「Satisfaction」と「The Last Time」という2大シングルを収録。さらにMarvin Gayeの「Hitch Hike」をはじめとするR&Bカバーが並び、ストーンズのルーツがどこにあったかを肌で感じられる一枚だ。
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タイトル:スティービー・ワンダー『植物の神秘』の深淵へ〜
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著者:(Toshiro Mori)
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